キイロスズメバチの巣を発見した際、多くの人が頭を悩ませるのが「自分で駆除できるのか、それとも専門業者に依頼すべきか」という問題です。駆除費用を節約したいという気持ちは分かりますが、この判断を誤ることは、自らの命を危険に晒すことに直結します。その判断基準を明確に理解しておくことが極めて重要です。まず、自分で駆除を試みてもよいと考えられるのは、ごく限られた条件下のみです。それは、春先の初期巣であり、かつ女王蜂一匹しかいないことが確認できる場合です。具体的には、巣の直径が五センチメートル以下で、働き蜂がまだ羽化していない四月から五月上旬頃までの巣がこれに該当します。この場合でも、必ず専用の防護服を完全に着用し、夜間に、噴射力の強いスズメバチ専用の殺虫剤を使用するなど、万全の準備と正しい知識が不可欠です。しかし、少しでも以下の条件に当てはまる場合は、絶対に自分で手を出してはいけません。第一に、巣の直径が十五センチメートルを超えている場合。これは、巣の中にすでに多数の働き蜂が存在することを意味し、非常に危険です。第二に、働き蜂が巣を活発に出入りしているのが確認できる場合。これは巣が活動期に入っている証拠であり、近づくだけで攻撃されるリスクがあります。第三に、巣が閉鎖的な空間にある場合。天井裏や壁の中、床下など、巣の全体像が把握できず、逃げ場のない場所での駆除はプロでなければ不可能です。第四に、高所にある巣。脚立などを使った不安定な体勢での作業は、蜂の反撃を受けた際に転落する二次被害のリスクが非常に高くなります。これらの判断を甘く見てはいけません。キイロスズメバチの毒によるアナフィラキシーショックは、時に死に至る深刻な事態を招きます。駆除費用は、自らの安全と命を守るための必要経費です。少しでも不安や危険を感じたならば、迷うことなく専門の駆除業者に相談する。それが、最も責任ある正しい判断なのです。
蜂の巣の駆除は自分で本当にできるか